今日の一枚 / ツィリヒタロット・ディスクの王子
2021.11.25
ディスクの王子
地の中の風
セフィラ:ティファレト(調和)
◇◇◇
目的地はどこ?
とりあえず
近くまででもいいから
行きたい場所を決めよう。
到達できる力は
すでに持ってる。
ここからは
成長するばかり。
遅くてもいい。
自分のペースで
進んでいこう。
◇◇◇
地の中を吹き上げる風は、生命力に溢れた春の息吹。
ベースとなるトートタロットでは、牡羊座21~牡牛座20の時期としていますが、ツィリヒでは「ベルティン」と明言しています。
◇ベルティン◇
ケルトや北欧、ヨーロッパ圏の春の祝祭。
5/1、夏の豊穣を祈るメイ・デイの前夜(メイ・イヴ)に行われる火祭りです。
ヴァルプルギスの夜とも。
サーウィン(ハロウィン)が夏の収穫を祝い、訪れる冬(闇)を迎えるなら、
ベルティンは冬の終わりと春(光)の到来(命の再生)を祝福します。
(ケルトでは一年を二分するそうなので、本来は春というより夏)
あらゆるものの再生を祝福し、ベルティンへ向かって牛を走らせる若者。
(ベルティンへ向かう=物質的豊かさ・成長へ向かう)
そう、解説書では走ってるんですよね、この牛。やる気満々です(笑)。
でもそれ以外には彼が現実主義っぽいことしか記されていないので、トートの象意と関連のあるものを見比べてみましょう。
◇象意◇
牛は堅実さ、そして目的に辿り着けるパワーや、やり抜く忍耐強さを。
冑(かぶと)の頂、羽のある牛の飾りは、牡羊座~牡牛座の季節を。
ほぼ裸体・鍛えられた身体は、自分の力への信頼と、飾らない実直さを。
数理的象徴を記された、地球に似た球体ディスクは、農業における計画(物質的目標に向かっている途中)を。
若者の表情と、自然物が描かれたタペストリーの背景は、現状や今ココに向き合っていない様を。
トートの牛もやる気満々でしたね(笑)。
でも、こちらはどっしり・しっかり・一歩ずつ引きずっていくようなパワー感があります。
ツィリヒのイメージは闘牛で、突然走り出してしまいそうです(笑)。
若者はどちらも、周りの景色に心を動かされる気配がありません。
特にツィリヒ。
こんなに美しく花が咲き誇っているのに、嬉しさや喜びは感じられない。
豊穣に繋がる生命の息吹は祝福するけども、花には別に興味はないと。
そんなところが解説書では実務的な心と書かれているのでしょうね。
トートでは単色のタペストリーになっていることで平坦に描かれ、彼の心には何も響いていない様が表されているようです。
二人とも、どこを見ているんでしょうか。
◇◇◇
実務的な能力はある。
やり遂げる力もある。
時期も良い。
成長もしていける。
じゃあどこへ向かうのか。
具体的な目的や、達成したい目標を定めれば、その能力は活かしていけそうです。
ツィリヒの牛は、猪突猛進に走ってしまいそうな雰囲気もあるので(笑)、着実に一歩ずつではないかもしれませんが、うまくコントロールして、自分のペースで進みましょう。
心を散らさずにやるべきことに集中するのも大事ですが、独りよがりにならず、周りの景色が美しいと感じられる自分の感性や心の余裕、周りの人達とのコミュニケーションも大切にしていけるといいですね。
今日の一枚 / ツィリヒタロット・ソードの4 TRUCE
2021.11.24
ソードの4 逆
TRUCE
天秤座の木星
セフィラ:ケセド(慈悲)
◇◇◇
休息の終わり。
物事は動き始める。
何のために
何をするのか。
心が定まったのなら
気合を入れ直して。
◇◇◇
TRUCE = 休戦。
付属の解説書には、
「苦難の後の一時的な休息(微妙な平和)」とされています。
お互いに戦い抜いて、ようやく辿り着いた停戦の円卓。
その安息は、丘の上の石のように不安定なものではあるけれど、良き方向への転換を示します。
その背に背負った聖アンデレ十字に、4=安定(平和)を求める心や、大切なものを貫く確かな意志を感じます。
兜の前立ての色は、戦う闘志や勇気を失っていないことを表しているのではないでしょうか。
逆位置だと、石は転がり始める。
物事は動き出し、そして明るい方向へ向かって、もう一度踏み出す決意をしたように感じました。
◇聖アンデレ十字とは◇
十二使徒の一人・アンデレさんが、布教の末、磔にされた X 字型の十字架(英語ではセント・アンドリュー・クロス)。
「師(イエス)と同じ形では畏れ多い」と自らX字型を希望。
苦痛を長引かせるために、あえて釘で打たず縛る(固定する)方法だったとか。
十字架にかけられ二日間、苦しみながらも、最期まで大勢の人々に教えを説いたそうです(二万人との説有り)。
◇◇◇
ツィリヒタロットの小アルカナは、トートタロットをベースにしているのですが、このカードは印象も解釈もかなり違ってきます。
◇象意◇
背景の青は明晰さと知性を。
蜘蛛の巣状の模様は困難や葛藤、複雑さを。
聖アンデレ十字は苦難と受容を。
緑はそのスペースが保つ平和と創造性を。
向き合った剣は拮抗・膠着を。
四隅の剣の柄は固定・硬直を。
大輪の薔薇の花飾り(ロゼット)は公認の印と社会的調和を。
ピリッピリしてますね(笑)。
勢力の拮抗、社会的良識(知性)が保たれた場所での受容、妥協…それぞれの落としどころを見つけた休戦、といった感じでしょうか。
問題が解決したわけではなく、物事を動かそうとしない、一時停止した状態。
次のソード5で崩壊が待っているので、ツィリヒのように良い兆しは感じられません。
クロウリーさんは、戦わないその姿勢を、意気地がないとか怠惰とか表現しているので(笑)、良しとしていないようですね。
そう言われると、現実逃避にも見えてきてしまいます。
けれどその受容を良しとすれば、行動を起こすより休む時、現実をあるがままに受け容れる、考えても仕方ないことは(とりあえず今は)考えない、いい意味での諦め、とも受け取れます。
スプレッドだと他のカードとの関連にもよりますが、トートでは、その休息が必要かどうか、考えてみるといいのかもしれません。
◇◇◇
ツィリヒの解説書では、象意をあまり詳しく書いていないので、トートやウェイトと比較して象徴を探したり、解説文や絵から感じ取れるストーリーというか、私なりの絵解きを大事に読んでいるんですが。
このカードは、ツィリヒの明るい兆しに救われた気がしました。
要石(かなめいし)
Instagramでほぼ毎日リーディングの投稿をしています(たまに休みます)。
本日はこちら。
◇◇◇
もしも貴方が
大きな変化を望むのなら
今は語るよりも
何か行動してみましょう。
今日の行動・成果が
後に要となるかもしれません。
◇◇◇
天照大神の命を受け、天より芦原中津国(日本の国土)に降り平定した、雷と剣の神です。鹿島神社(茨城県)のご祭神でもあり、鹿島様とも呼ばれています。
経津主神(フツヌシノカミ)と共に関東を平定した際、香取・鹿島神社のある常陸・下総付近は、地中に棲む大鯰(おおなまず)が荒れ騒ぐせいで地震が多く、ただよえる国でした。
そこで二神は、大鯰の頭と尾に、地中深く石の棒(要石)を刺し通し、地震を鎮めました。
カードにも見えるように、鹿島様は鯰の頭を押さえていると言われ、鹿島神社では、その深く穿たれた石棒の頭の部分を「要石」として見ることができます。
仏教が入ってきた後に付されたんだと思いますが、漂う日本の国土を、大地の最も深い部分(仏教的宇宙観でいう金輪際)に繋ぎ止めている柱との由来もあるそう。
神話を離れて、ヤマト政権による蝦夷(中央政権から見た関東以北)進出の際、両神社は地形的に軍事上・交通上においても重要拠点とされていて、いろんな意味で「要」だったようですね。
扇を開閉するために、骨の末端にはめ込む釘を「要(かなめ)」といいいます。
そこから転じて、物事の最も大切な部分を指すようになりました。
「要」は、大切なもの。なくてはならぬもの。
「要石」は、抑えるもの。動かしてはいけないもの。
よく似て非なる、2つの意味。
けれど、両方の意味を持つものもあるのではないかと感じました。
自分の中で、動かしてはならないと感じる重要なもの。ゆるぎないもの。
それがあることで、安定するもの。
自分軸・信念・意図・礎・基礎 etc.
多分、「信じる」ということそのものが要石。
思い当たることや、それを表す言葉は、きっと人それぞれ違うでしょうが、今日のリーディングが誰かの気づきになったら嬉しいです。
◇リーディングで使ってるカードはこちら◇
火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)と死神
普段、Instagramでほぼ毎日リーディングの投稿をしています(たまに休みます)。
偶然手に取った本の中の台詞や、SNSなどでたまたま流れてきた言葉に、心が弱った時救われたことが、私には何度もあったから。
通り過ぎる言葉でいい、そのうち忘れてしまってもいい、全部じゃなくてもいい、一齣(ひとくさり)でもいい。
今迷っている人やしんどい人の、ほんの少しの支えや、足元を照らす小さな灯りになればいいと思って。
なぜか占い師さんのフォローが多いんですけどね(笑)。
毎日のメッセージとして励みにしていただけてたら、それもまた嬉しいことです。
◇◇◇
今使っているカードは「日本の神様カード」というオラクルカード。
長年離れていた占いの世界に復帰して、最初に触れたカードです。
このカードに出会って、朧(おぼろ)げだった日本の神話を改めて勉強中。
こちらもね、古事記と日本書紀と、各神社の伝承と、様々な解釈と、いろいろ、もう本当に色々沼なんですけどね…。
◇◇◇
昨日のリーディングで出た、火之迦具土神という火の神様。
生まれたことが元で母神・伊耶那美命(いざなみのみこと)が負傷・神避りし(≠死)、妻を失って嘆き悲しんだ伊耶那岐命(いざなぎのみこと)に斬られることによって、その血や肉体から様々な神がまた生まれます。
火の起源や、根源的なエネルギー、焼き畑農業や火山、火食(食物調理)、古い習俗や呪法、いろんな説があって、いろんなことを内包しているのも理解できるし、神話に人間性を求めるものではないっていうのも分かっているんだけど、「えっ、生まれただけで斬られるってどういうこと?伊耶那岐ひどくない?え、存在するのは一瞬なの?」と、どうしても思ってしまいます。
まあ、それはさておき。
昨日のリーディングで、迦具土としての存在意義、というよりも、死ぬこと(解体)で新しい命が生まれる、Re:birth - 再生 - を強く感じて、タロット(ウェイト版)の死神がふと過りました。
終わることは最後ではなくて、新たなる始まり。
そして始まりがあるものは、やがて死(終わり)を迎える。
生命の必然。循環。魂の成長。心の進化。
けれど死神と違って迦具土の場合は、その血が、体が、新たな命となる。
それは継承とも言えるのではないか、と一瞬思いましたが、新しい命は迦具土自身ではないので、苗床としました。
日によっては眼を強く感じて、目覚めと捉えることもあるのですが(金色の眼が綺麗なのです)、今回はそんな感じでした。
ほぼ毎日読んでいても毎回感じ方は違うし、滅多に出ないカードもあるし、新たな発見もあって、カード好きだなぁってしみじみ思います。
まだまだ勉強不足だってこともあるんですけどね(笑)。
それもまた伸び代として、知ることや気づきを楽しんでいきたいです。
現在タロットはウェイト版とsun and moon を同時進行で勉強中。
インスタでも使いたいのですが、まだ自分で納得がいかないので、一度集中して取り組んでみようかと思います。ウェイト版が先かなぁ。
LUAさんの4週間ステップ、やってみようかな。
フギンとムニン / ごあいさつ
はじめまして。
八子(はちこ)と申します。
小さな頃から(興味のあることに限りますが)「知りたい欲」がとても強く、本を読み出したら止まらず・周りの音は聴こえず、病気と言われてまいりました。
ありがたいことに家族も友人も「病気」の一言で済まして、そのまま放置してくれたおかげですくすくと育ち、現在も変わらず本の虫でございます。
昔より多少は集中力が落ちてきたような気もしますが、「知りたい」と思った時のワクワク感と衝動は変わりません。
そんなワタクシの脳内はブラックボックスでして。
カラスのようにせっせと集めてきたキラキラとしたお話を、ラベリングして取り出しやすく収納するでなく、大きな黒い箱にまとめてポイっと入れるだけ。
何がきっかけで思い出すかも分からない。
そんなところが向いているのか、学生の頃手にしたタロットは思いの外馴染み、周りにお願いされてよく占っていました。
ところがそのうち当たり過ぎて自分でも怖くなり、何をするにもカードに聞いてから、と依存し始めたことに気づいて、「これはいかん。私の人生は私のものだ」と、一切の占いごとを断ちまして。
私、朝の情報番組で見た運勢も気になって、ラッキーアイテムを必死に探すほど信じやすかったんです(笑)。
なので、一切見ない、と決めて20年くらい過ごしましたかね。
その後色々ありまして紙の箱屋になり、ご縁あって、占い師さんからご依頼を受けて、占い用のカードケースなどを作るようになりました。
お陰様で、私のTwitterのフォロワーさんは9割占い師さんです(笑)。
そうするとどうなるかと言うと、タイムラインが毎朝占い祭り!
ええ、始めの頃はTwitterのミュート機能など知らずにどうしたもんかと思っていました(笑)。
流れてたら見ちゃうので。(私、本と同じで文字の情報大好物なんです)
でもそれが良かったんです。
見ているうちに、同じ朝でも人それぞれ言ってること違うし、同じホロスコープでも読み方違うし、絶対に信じなくてはいけないたった1つの真実のようなものではないんだって思えたから。
流してみていると、徐々に目に留まる、心に響く言葉があると気づくようになって、自分が信じることを選んでいいのだと、ようやく自然に思えました。
箱をオーダーいただいた占い師さんに「信じ過ぎちゃうから怖いんです」と正直にお伝えした時に、「占いは使うものだよ~🎵」と教えていただいたのも良いきっかけでした。
そこから占いを楽しんで見られるようになり、改めてカードに手を出すまでは早かったですね。
長年離れていた占いの世界。
本当は大好きだったもんだから、どんどん楽しくなってしまいまして。
何がって、掘り下げていく調べものがまあ楽しい(笑)。
一目惚れから新しく迎えた sun and moon tarot というカードが、いろんな要素を含んでまして。
作者はベルギーの人、ベースにはトートタロットの影響、ということは占星術・錬金術・カバラも必須、でもウェイト版も垣間見えて、インド哲学や北欧の神話のイメージも取り込んで…ってどれだけ調べればいいのっ(歓喜)!
そんな中、調べものやSNSの隙間で、やたらとカラス(ワタリガラス)を目にすることが増えました。
こんなに目にするなら、何か意味があるのでは?ワタリガラス?どこかで読んだことが…と思ったら、北欧神話の主神・オーディンの使いでした。
フギンとムニン。
フギンは「思考=考えるもの」、ムニンは「記憶=過去を知るもの」を意味すると言われています。
知識を得るための思考と記憶。
夜明けとともに飛び立ち、世界中の情報を集めてきてオーディンに報告する二羽のカラス。
「フギン、ちゃんと帰ってくるかな。でもムニンのがもっと心配。」
と心配されているカラス達。(グリームニルの歌・意訳)
調べ始めと違うことを追いかけ始めることもしばしば、本をとっかえひっかえ、ネットサーフィン大好きでなかなか帰れない身としては、もう親近感しかありません。
トートタロットについて知りたいと本を探したところ、日本語の書籍は少なく、ネットで解説をされている方々の存在を知りました。
なんとありがたい…!
っていうか、これ無料で読ませていただいて大丈夫なの?!と驚きつつ、そうか、趣味でこういうことしてもいいのかと、新たな気づきをいただきました。
(その方達は、色々と収入を得る手段も兼ねていたので大丈夫なようでした(笑))
箱屋としての関わりですが、プロの占い師さんの活動を拝見していく中で、知識はタダで得てはいけない、もしくはタダで提供してはいけないものだと、いつの間にかどこかで思い込んでいたんですよね。
英語の解説書を訳したり、一枚ずつのカードの意味をまとめたいな。
ついでに今まで集めた話とか、新しく調べたことも書いてみたいな。
そんな思いからブログを始めようと思った時、烏滸がましくも親しみしかないオーディンの使いに名を借りることといたしました。
自分の脳内整理も兼ねているのですが、ウフウフと集めてきたいろんな話を書いていこうと思います。
何かの参考にしていただいたり、雑学として娯楽のように楽しんでお読みいただければ幸いです。
どうぞこれからよろしくお願いいたします。
八子